いゃー今週のジャンプ楽しみだなっっっっーーONE PIECEどうなったんだろう?



と、子供の時代に思っていた方(今現在も愛読中)も多いでしょう。ボクは基本的にコミック派なので、あまり買う機会は無いのですが、今、漫画雑誌を取り巻く環境は大きく変化しています。一時期は600万部という驚異的な部数を誇った「少年ジャンプ」ですら今は280万部そこそこ。ドラゴンボールやスラムダンクが社会現象を巻き起こしていた時代とは違う。漫画雑誌を取り巻く環境は大きく変化しています。本書「マンガ進化論」は、そんな漫画を取り巻く環境を赤裸々に綴った1冊です。



●マーケティングなき感。



まず、これは驚いた事ですが漫画雑誌において正確なマケーティングというものは存在しないそうです。ジャンプのアンケートシステムは有名(例えば、シャーマンキングといった漫画が打ち切りになりました)ですが、若い男性は面倒でハガキを出さない。30代女性の結果に左右されるという言葉もあるそうです。これは「ブラックジャック」において有名な話。当時、アンケートで上位ではなかったブラックジャックを休載したところ、読者から苦情の電話が殺到したそうです。



●貸し本から週間漫画へ



今では殆ど見る機会はないですが、60年代〜70年代当時は漫画は=借りるものというイメージがありました。それこそ連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」で描かれた世界ですが、その当時は読み切りが大半を占めていたそうです。そこに変化をもたらしたのが「少年マガジン」だったわけです。子供のおこずかいも増え、漫画は借りるものから買うものに変化しました。手塚治ができなかった事を貸し本の劇画作家を行っていた。それこそ手塚がやりたかった事ではないか?という指摘は面白かったです。



そして、時代は短編物から長編物へ。

例えば、長編の元祖としてはドラゴンボールが挙げられると著者は言います。



●鳥山明を発掘したトリシマン



今も昔もそうですが、基本的に漫画は編集者の勘が頼りな訳です。これは漫画「バクマン」で一部話がありましたが、やはりその伝統を良しとする風潮はあるようです。例えば、少年ジャンプにはボツコーナーというものがあって、編集者が育てたい若手を探すそうです。そこで発掘されたのがドラゴンボールでお馴染みの鳥山明先生だったわけです。それを発掘したのがトリシマンこと鳥島さん。500ページを越えるボツページを書かせる事で、鳥山先生を一躍ヒット作家に育て上げたそうです。



●漫画を読まない子供



これは正直、信じられない事ですが、最近は漫画を読まない子供が増えているそうです。推測するとその理由はネットの普及に思えますが、実は「漫画の内容が難しい」というのが大きな理由だそうです。実は6人に1人の子供が漫画を読まないらしい。子供向けだったマガジンやジャンプがいつの間にか年齢層の高い雑誌になってまった。AmazonのONE PIECEのクチコミには「文字が多すぎる」という意見も多々ありますが、それも理由なのかもしれない。



●ワンコンテンツ・マルチユースが日本を救う?



例えば、海外では「NARUTO」であったり「鋼の練金術師」や「フルーツバスケット」といった作品が人気だそうです。少子化で子供が減る一方の中で、漫画が目指す先はやはりコンテンツを海外に展開する事が大切だと言います。週刊漫画というのが日本独自の文化だそうですが、ディズニーなどに比べるとやはり後手に回っている感は否めない。簡単に本書を要約すれば、漫画はまだまだ捨てたものではない。漫画家が創作に専念する環境を作って、ちゃんとしたマーケティングをしていけば漫画は捨てたものではないと言います。