この本は社会派ブロガーであり、おちゃらけブロガーである「ちきりんさん」のブログ運営術や、200万PVという驚異的なアクセス数を稼ぐまでのルポです。基本的に、本書はちきりん氏も言ってますが、ブログで成功するための方法や短期間でアクセスを稼ぐ方法が書いてある本ではありません。ただ、ブログを一度でも更新した事のある方なら、この本の意味を知る事できるでしょう。たぶん、それ以外の方は買わない方が吉です。



ブログに人生を捧げた女のブログ運営記。というタイトルが正しいかと、、。



まず、冒頭で驚くのが今や超人気ブロガーとして有名なちきりんさんであっても、最初のアクセス数は10数件だった事です。
ネット上に文章を書き始めても、読んでくれる人はほとんどいません。でも紙の日記の場合、自分以外の読者はいないのが当たり前なので、ブログを始めて5人でも10人でも、読者が現れたこと自体にびっくりしました。おそらく最初1年くらいは、毎日50PVくらい、月に1500PV程度だったろうと思います。うち10名くらいが固定読者という感じでした。

この本を読んで強く感じた事は、ちきりんさんが求めているものは月並みの成功ではないという事です。この本によれば、ちきりんさんは現在ブログで生計を立てるプロブロガー(本人はこの言葉を使いたくないらしい)ですが、それでも売り上げは500万円ほどだそうです。たぶん広告の貼り方にもよりますが、独自ドメインでちきりんさん並みのアクセス数があったら2倍は稼げるはずです。でも、ちきりん氏はこれ以上の収入は要らないと言っています。この言葉を聞いてああ、ちきんりさんって凄いな。と思った事が二つあって、一つは「ブロガーとしてポリシーを貫いている事」二つは「お金に価値を求めない新しい生き方だな」という事です。たぶん、ちきりんさんは根っからのブログ大好きっ子なのでしょう。



自分が書いた物が人の心を動かす。ここに未知の500万円分の価値があるのだと思います。

ブログ界も変わっているなというのが本音です。一昔前のブログ界ではいかに稼ぐのか?逆に言えば、稼ぐ事がかっこいいと思われる時代が続きましたが、ここ最近のトレンドとして、「自分が楽しんで、その楽しさをブログに綴る事がかっこいい、お金なんて要らないぜ」という、新しい価値観が生まれつつあります。



ちきりんさんはこれ以上本の執筆をしないし、表に出る事はしないと言っていますが、この覚悟は凄いですね。たぶん、この本がブログ論ではない点は、そういう価値観の問題なのでしょう。逆の意味ではそれがブログ論で、ちきりんさんのようなポリシーを持っていないと、淘汰されるという危機感はあると思います。おちゃらけた中の大人の感覚。これが本書で強く感じ事です。



Amazonプライム会員でKindle端末を持っている方は無料で読む事ができますが、iPad等で読む方は980円が必要です。100ページそこそこでこの価格ですから、これは結構高いです。でもブログに一度で触れた方なら楽しめるはずです。完全自費出版という形にも注目です。