ラッセル・クロウ、ミリオンダラー・ベイビーのポール・ハギス監督作品です。脱獄系の映画と言えば、古典的な名作としては「大脱走」であったり最近ではテレビドラマ「プリズン・ブレイク」などが有名ですが、やはり脱獄系は観客の心をハラハラドキドキさせてくれます。この作品も例外ではないです。軽い気持ちで見ましたが、その完成度、そしてある男の決意と家族愛の物語です。



●あらすじ。



ある日の朝、家族で食事を取っていると警察が踏み込んでくる。妻ララ(エリザベス・バンクス)が殺人事件の容疑者として逮捕される。夫は間違いだと言うが、証拠が揃っており、妻は一生を刑務所で凄い運命になってしまった。大学の教授として働く夫ジョン(ラッセル・クロウ)は賢明に無実を訴えるが、妻の運命は変わらない。もう一度、家族の時間が欲しい。ジョンはララを刑務所から救う決意をする。



●感想。



本作でまず、ボクの心を惹いたのが冒頭で家族で写真を撮るシーン(これは最後のシーンに繋がるわけですが、、)これによって、家族の絆。そして消せない愛を確定的なものにさせる。周到に練られた脱獄計画、家族を失ったジョンに捨てるものは無い。違法な手段を使ってでも必要は物は手に入れる。偽造パスポート、そして現金。現金を得るために麻薬密売人さえも殺してしまう。そして、決行当日、糖尿病の妻の検査結果を偽装し、病院から妻を救出する。



道路、電車、そして検問所。家族を捕まえるため必至に動く警察。崩れる計画、1秒たりとも見逃せないスリル。手に書かれた15と35という文字。橋は15分で閉鎖され、35分であらゆる交通網に検問が設置される。愛のため、家族のため、心優しい夫が人生の全てを捧げる。法が全てではない、国が全てではない。正しいと思っていた事が時には正しくない時もある。その手段として脱走は間違っていたのかもしれない。真犯人を探す事も選択肢の一つだった。ただ、法も国家も完璧ではない。法律的には間違っていても、凛々的に正しい事もある。何より、かけがえのない家族と離ればなれになってしまう恐怖。それは暗闇の道を歩いているようなもの。



ラッセル・クロウの演技は勿論の事、脱走劇のスリルは凄いです。

結果的に家族が平和な生活を得たのかは本作品では描かれていない。最後の最後で描写される妻の無実に関する証拠。正直な感想を言えば、完璧な結末を用意して欲しかった。ただ、一時であれ平和な時間を手に入れる事できた。130分という時間を飽きさせる事なく見る事かできました。