ブックライター、えっそれってどんな仕事?と思う読者も多いかもしれない。簡単に要約すれば、昔のゴーストライターの事です。最近は著名人による大量のビジネス本が出版されていますが、実は実際に本を書いているのは少数派です。多くの著書はブックライターである上阪さんのような人が何時間か著者にインタビューを聞いて、それを元に文章化する作業が行われています。



えっえっあの本は本人が書いた本じゃないの?



と思う人も多いと思いますが、それはある意味では当然で、プロの作家ではない経営者や著名人が短期間で本を書けるとは思いませんし、完成度が高い物が書ける保証はない。それに多忙を極める著名人が本を書く時間を確保できるのか?というと疑問です。出版社もリスクを抱えています。再販制度と委託販売制度というものが日本には存在しますが、売れなければリスクを負うのは出版者です。その意味では、ブックライターを起用する事は頷けます。



リブセンスの村上の社長の本。

藤原和博さんの「坂の上の坂」



など、多数の本が上坂さんが書いた本だそうです。



●ブックライターの印税。



ただ、その場合の印税の計算が面白くて、全て自分で書いたとして著者とブックライターの印税は「7対3」だそうです。著者にしてみれば本を書かずに売り上げの7%が印税として入ってくるわけですから、これほど嬉しい話は無い。出版社も本が売れますし、ブックライターにも印税が入る。ある意味でWin-Winな関係らしいですね。



●毎月1冊10万字書く私の方法



基本的にAmazonのレビューでも言われてましたけど、本書にノウハウは殆どありません。簡単に要約すれば、「目次を作って細かく書く」「情報を事前に調べる事で8割の作業は終わる」という事です。具体的にこういう文章を書けばヒットするといった事が書かれているわけではない。本人曰く、子供の頃は作文が嫌いだった。ブックライターにはそれほど文章力は必要無いといっているように、文章の本であればながら文章の本ではありません。結局、作家自体の能力よりもブックライターにとって大切なのは、編集者とのコミニュケーションだと言っているようです。



●この本の意義。



たぶん文章術の本を期待してしまうと後悔します。本書の意義は文章術よりも、ブックライターという存在を知った事です。本書をコンパクトに要約すれば、「ブックライターという仕事があるよ」という紹介です。そう考えれば、「都内の高級住宅地に住んでいる」とか「ドイツ車2台を持っている」という自慢も納得がいきます。「職業、ブックライター。」ですよね。Amazonのレビューでは文章力が酷いって書かれてましたけど、やはり一般人が読む範囲という点では、これぐらいでいいと思います。



こういう仕事もあるんだって、知見を広げる意味では面白いです。



また、上坂さんが書いた本には「協力 上阪徹」と書いてあるそうなので、ゴースト本を探すのも面白いかもしれません。