「キャプテン・フィリップス 」は、ソマリア沖で拿捕されたアメリカ船籍の船長であるフィリップス を元にした実話である。監督に、「ボーン・アルティメイタム」のポール・グリーングラス。フィリップス船長役に名優トム・ハンクスが起用された作品です。これは賛否が分かれる作品だ。娯楽作品で無い事は確かだが、事実を語る一方で商業的な完成度は保たれている。ソマリア沖での海賊行為は世界的に注目を集める。日本国内でも自衛隊が攻撃を許可するかで揉めた。本作はその事実を忠実にそして、映画という媒体を使って問いかける。



●あらすじ。



アメリカ船籍の貨物船はソマリア沖を航行中。突然、占拠された。お金を渡さなければ人質を殺すという。船長であるフィリップス(トム・ハンクス)は、3万ドルの現金を渡すから帰って欲しいと告げる。しかし、海賊たちは船長を人質に救命艇で逃走。1人海賊の人質になったフィリップス船長。海賊たちは船長の命と引き換えに600万ドルを要求するのであった。



●感想。



本作は監督であるポール・グリーングラスの拘りで溢れている。まず、犯人役として登場する海賊の配役として、アメリカ系のソマリア人を起用した。風貌は痩せこけ、貧しさを外見からも見る事ができる。その上でトム・ハンクスの演技が凄い。ターミナルの時もそうだが、極限状態にある男の配役として、彼を置いて他にはいないだろう。いつ殺されてもおかしくない、数では負ける極限状態の男を見事に演じきっている。



ただ、本作が何を伝えたかったのはボクには謎だった。ソマリアの貧困(つまり、無政府状態)を告げたかったのは分からないが、ほぼほぼ救命艇での展開が続く。安易な映画としては、船長がソマリアに連れていかれて、特殊部隊が敵地に乗り込む。メタルギアソリッドのスネークよろしくな展開なわけだが、本作の海賊たちはあまりにも無知すぎる。ソマリアにお金が無い事勿論だが、本作中で海賊のリーダー的な人が「お金が入ったらアメリカに行く、家を買ってアメリカ車を買う」といっている。年齢が10代〜20代前半の若者という点もあるが、ただ、行動があまりにも無知すぎるのではないか?結局、そのリーダーもアメリカ軍の簡単なウソに騙されるわけだが、、。



●フィリップス船長は英雄なのか?



結局、ラストもそれで良かったのか?という点も不満だ。結局的に本作は、船長が助かるか助からないかが本題であって、決して、ソマリアに同情する事できない。事実に基づいたという事が足かせになっていのたかもしれない。事実に忠実にであるために、脚本的な脚色ができなかった。完成度は非常に高いけれども、娯楽作品ではない。さらに情報によれば、フィリップス船長が海賊に連れ去れてた理由として、無理や航路を選んだという話もある。それは裁判になっているらしい。フィリップ船長は映画としては英雄だが、事実とは異なるらしい。



130分という上映時間を考えると、やはりもう一つ見せ場は欲しかった。

完成度の高いドキュメンタリー風な映画として見るのがおすすめです。