時代はクラウド。実は、既に時代は変わってます。本書のテーマにもなっている「AI」(人工知能)が今の主流です。ロボットが人間のように意思を持って行動する。それは遠い未来のようで近い未来だったりするわけです。GoogleやApple、Facebookなどがこぞって参入している分野だったりします。



例えば、「iPhoneに搭載されているSiri」だったり、Googleの音声機能だったりします。他にも、最近になって気づいた方も多いと思いますが、Googleで映画や人物名を検索すると、右側にウィキへのリンクや写真が表示されます。これも膨大なデータを機械が分析して自動的に表示されるシステムです。「セマンティック検索」と言います。何故、GoogleやAppleが躍起になって音声データを分析したり蓄積してるのか?というと、それを分析する事でさらに高精度な結果を出す。最近になって、AppleはSiriの音声入力の検索をマイクロソフトの検索エンジンに変更したそうですが、GoogleもAppleもデータの蓄積こそが今後のビジネスを左右すると思っているわけです。



で、このAIにも色々な考え方があって、大雑把に言えば2種類の経路があって、



1.AI派

将来的にコンピューターは人間に近い存在になる。



2.IA派

コンピューターは人の道具であるべきだ。



という考え方の違いです。



●コンピューターと戦った天才チェス選手の話。〜機械と人間の未来〜



この本が面白いな〜と思った理由は後半です。前半では現在までのAIに関する知識をまとめながら綴りますが、後半で機械と人間の未来を描いています。例えばね、最近ではニコニコ動画で将棋のプロ棋士とコンピューターが戦った「電脳戦」というものが話題になりましたけど、情熱大陸の情報によれば人の負けだったそうです。将棋でコンピューターが人に勝ったのは割と最近の話ですが、チェスの世界では既に90年代の段階で人間は機械に負けています。(ただ、人間が機械に負けたからといって、チェス自体の面白さが無くなるわけではない。)それはチェスに限らず、クイズにおいても。で、本書が危惧している事は人の仕事が機械にとって代わられるのではないか?という危惧です。それに関しては、先日の「カンブリア宮殿」でSoftBankの孫さんが面白い事を言ってました。iPhoneが中国で製造されている事はご存知の方も多いと思いますが、実は既に大半の作業をロボットが行っている。その理由が凄くて、「もう精密すぎて人間では作れない」と言います。



景気が回復すれば雇用は増えるというのが世界の常識ですが、実はリーマンショック後でもそれ以前の雇用は回復できてない。つまり、その分の仕事が機械にとっては変わられたという事になります。



最近はロボットブームですが、機械が進歩する事は人間にとってバラ色の未来なのか?という問いかけは面白かったです。