最近、サムスンのギャラクシーに初めて触れました。最新型はS5ですが、旧型のS4を買いました。中古で1万5000円とめっちゃ安かったです。基本的に不満はないです。一昔前のAndroidってもっさりしたイメージでしたが、サクサクで驚きました。

有機ELで画面も奇麗ですし、ボクの持っているiPhone5Sより画面デカい。日本では韓国製品をネット上で賞賛すると「売国」的な見方をされるそうですが、サムスン製品が世界で売れる理由も納得です。で、ここ最近の家電メーカーと言うとお寒い感じです。パナソニックや日立が躍進する一方で、シャープやソニーは赤字体質。

まぁね、パナソニックも日立もiPhoneのようなイノベーションを起こす製品を開発したわけでもなく、腐った部分を切り捨てて、BtoBに特化した影響も強いようですが、、。

で、最近の日本家電メーカーに対して本などで「サムスンを真似ろっ!」という意見は多いです。対して、本書では「サムスンに学ぶな」という事を強く強調します。えっと思う方も多いと思いますが、ボクもえっ?と思いました。でも、最後まで読めば「なるほどっ!」と膝を打つ事間違いなしです。

●世界展開のお手本。


まず、サムスンが躍進して日本の家電メーカーが衰退する象徴的な問題として「テレビ事業」が挙げられます。シャープの境工場やパナソニックの尼崎工場がニュース等で話題になりましたが、何故、サムスンのテレビが売れて日本のテレビは売れないないのか?簡単に言えば、それは経営者の選択ミスだと言います。

例えば、日本のテレビは殆どの製品がハイエンドなのに対して、サムスンの中心はローエンド。つまり、低所得者向けなわけです。その一方で大型テレビはもの凄く高い富裕層向けなわけです。確かに、日本の製品は細部まで分析すればサムスンに勝っているのは確かだと思いますが、ハイレゾとMP3ぐらいプロが聴かないと区別が付かないレベルです。

たぶん、2011年の時もそうだと思いますが、アナログテレビから液晶テレビに買い替えれば、どの機種を買って「新型テレビ奇麗っっっっ!」と思うわけです。

正直に言うと、そういった低所得者や新興国の人にとって、些細な画質の差よりも価格なわけです。サムスンが躍進した背景にはそういったものがあります。ただ、最近ではサムスンであっても中国メーカーの低価格戦略によってテレビ事業は赤字だそうですが、、。

●お金を儲ければいいのか?


これが本書でがつんと来る言葉でした。サムスンはある意味でアメリカ的な企業です。日本のそれが三重商人で言う「買い手よし、売り手よし、世間よし」を大事にするのに対して、サムスンはとにかく儲ければOKというアメリカ的な発想をします。それを取り入れて失敗した例がソニーなわけです。

ストックオプションの導入。カンパニー制の導入などです。まぁストリンガーが悪いのか、出井さんが悪いのか、大賀さんが悪いのかは置いておきます。日本ではそれが上手くいかなかった。

●お金を儲けるのか?感動を売るのか?


これは正直、悩みました。本書はサムスンに学ぶなというタイトルですが、お金を儲けるというグローバル的な発想で考えれば正解なわけです。別に国際法でお金儲けが禁止されているわけではない。どんな方法であれ儲けた奴が勝つというのはある意味で正しいわけです。

でもそう考えると、日本の三方よし的な発想もある意味では正しいですが、逆の意味ではそれを守るために何万人もの職員をリストラをしていいの?という事もあります。技術では劣っていないけれど、戦略で負けた。それはある意味で犬の遠吠えであって、やってから言ってみろっ!という感じであると思います。

ただ、本書は反サムスンという視点で面白かったです。
これに詳細なデータを加えて新書で出せばかなり売れると思います。