本書の著者は人気ブログ「ライフハッカー」で書評記事を書いている方。帯にも書いてあるように、月間PVは3000万回を越え、月に300万人以上が観覧する超人気ブログです。そこで土日を覗く5日間。朝7時半に書評書いているので、ビジネスマンの中には「あっいつも読んでる人だっ!」と思うかもしれない。本書の主題は伝わる文章を書く事だけれど、同じ書評家として書評ブログという視点で読んでしまいました。あらすじを含めつつ、書評ブログを書く上でのボクの覚悟を綴ります。


●書評ブログは儲からない?

本書によれば、著者の書く書評は書店の売り上げに左右する絶大らしい。ボク自身も「○○で紹介されたから売れた」というのは一種の夢ですが、まだ難しい。たぶん、この本を読んで「書評ブログをやってみたい」と少数だけど思った方は多いかもしれない。はっきり言うと、書評ブログは辞めた方がいいとしか言えません。まず、殆どの書評ブログはアクセスを稼げません。何故、著者の書評が評価されるのか?というと、勿論、第一には中身がしっかりしている事。当然のように、全ての本に自身で目を通している事は尊敬に値します。しかし、一番の要因は月間3000万PVを越える「ライフハッカー」というブログに書いている事が大きいです。

例えるなら、銀座の一等地に無賃料で「たい焼き屋始めました」に近い。

ボクのブログは例えなら、農道の殆ど人が通らない道と考えて欲しい。

書評は本当に単独でアクセスを稼ぐ事は非常に難しいわけです。例えば、1日に出版される本の数は300点ほどだと言われている。大体の本が1000部〜3000部程度でスタートする。1万部売ればヒット、10万部売れれば大ヒット。100万部は驚異的な数字です。つまり、殆どの本は全国で1000人〜3000人しか買わないニッチな物。そのうち、何人が書評を読んで買うか考えてほしい。ブログを運営している方なら知っていると思うけれど、殆どのブログのアクセスはGoogle頼みなのが現状です。つまり、検索で上位に位置しても殆どアクセスは稼げないと考えた方がいいわけです。

iPhone+アプリ。
バスドラ+攻略。

とは大きく違う。

その上で著者は記事にキャッチーなタイトルを付ける事が大切だとも言っているわけですが、これも違うわけです。ボクの持論として「タイトルで遊べるのは人気ブログ」というのがある。例えば、著者の書評のタイトルを見ると、、

戦略は「1杯のコーヒー」から学べ!→1杯のコーヒーが教えてくれる、3つのビジネス戦略。
How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント→Googleの現場には何が起きていたか。前CEOたちが語る「スマート・クリエイティブ」の成功論。

確かに、興味のあるタイトルでブログの読者としては「面白そうっ!」と思うけれど、SEO的にこれが正解だとは思わないわけです。人気ブログの記事の一つとして見た場合は正解ですけど、これは自動的に提携先のニュースサイトに配信されたりする特権があってこそなわけです。

●目次と前書きは超重要。

これは同意です。殆どの場合、目次と前書きは著者がその本で言いたい事がコンパクトにまとめられている場所なので、ここでダメな本文もダメです。

●読ませる文章の書き方。

1.センス
2. 文法
3.リズム
4.簡潔さ
5.削ぐ力

最初から完璧を目指すのだはなく、書いて消していく事で最高のものを作るという言葉にはぐっと来ました。著者は書けなくなった事はないと、おっしゃってますが、書く事が無い場合は「何を伝えたいのか?」を明確にすればいいと言います。

ボクも記事を書く時は1時間くらいで一気に書き上げますが、毎日書評を書いていても、本音で「読むのが遅い」と語っている所は共感を持てました。そして、本書では意外にも「点と丸」といった基本的な部分に重点が当てられているので、書くのが下手とか苦手という方にも興味深いと思います。

あと、意図的な思惑として、個人的な感想ではなく「引用」を重視している所は、あ〜なるほどと思いました。

●感想。

ただ、書評=文章術というのは違うと思った。次回は是非、おすすめの本と本の読み方に重点を置いた本を読んでみたい。