Amazonのレビューなどを読むと「自民党から民主党に乗り換えた人」とか「お坊ちゃんでコネ入社」とか書かれているけれど、ボクは純粋な気持ちで本書を読んでみました。なので、こういった前評判は全てフラットにして中身を評価したいと思います。はっきり言って、「まぁ出来の悪い自己啓発本じゃない?」という感じです。まず、著者の海外という視点が間違ってます。

本書で言う所の海外とは、つまりは「有名大学並の学力があって海外でMBAを取る」奴。それ以外は逆に、「日本でテクノロジーや人口減少に苦しめばいいんじゃない?」という事です。確かに、本書で語られているように、海外に飛び出す事、そして大学の基礎教養で言う「リベラルアーツ」の大切さは重要です。本書にも「耕太郎、お前には教養が足りない、もっと古典を学べ」的なくだりがあるんですが、それは間違いなく正しいです。

でも海外に出て行ってする事が、海外の有名大学に入る事(それも学費まで掲載している)のは頂けない。

例えば、海外に行くにしても、世界の現状を踏まえた上で、「貧困国でボランティアをしよう」とか「バックパッカーで世界を放浪する方法」「安い宿の取り方」「NPOの作り」とか書いてあるならいいですが、著者が言う海外というのが、「アメリカ」「シンガポール」「インド」だけなわけです。

あと、トンデモ論なのが「日本の消費税は将来的に60%になる」というくだりであったり「日本人はテクノロジーに取って代わられる」という話です。この人、本当に国会議員だったのか?と思います。一つ矛盾があるのが、少子高齢化で人口が減る事=国家にとって悪と捉えているのに、テクノロジーの進歩を敵視している事です。

人口が減るのが確実だったら逆に付加価値を上げて、機械を積極的に導入する事が正しいのでは?今の時代、日本でもMBAは取れますし、本当の意味で重要視されるのは、貧困地域や違った場所でリーダーシップを発揮できる能力でしょ。海外の有名大学でMBAを取る事、それが世界のワクワクなのか?と思いました。

例えば、無職で学歴も無い。自殺願望を持った若者が単身で海外に行って、ゼロから事業を立ち上げました(NPOでもいいです)、そこで出会った人々。日本との違い。笑顔。そして日本へ帰って来て日本に対して思った事を綴る。それこそ、君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるかでしょ?

えーっと、どうなのこの本、、。読みますか?

一つ弁護しておくと、この本はイマイチですが、同じ著者の「野蛮人の読書術 」は良い本です。