16世紀のにおきたイタリアのジェノバにおける超低金利の長期化。それがもたらした社会の混乱。日本を筆頭に、今世界で起こっている超低金利が資本主義の終焉をもたらすのではないか?そう問いかける本書は、2014年にもっとも売れた新書らしいです。去年から普通に売ってたみたいですけど、書店の「2014年当店で最も売れた新書」というコピーを見て買いました。いゃ〜お恥ずかしい。(笑)

●金利と企業が得る利益はイコール?

超低金利。一見すると良いのか悪いのか分からないけれど、本書によれば、金利と企業が得られる収益はイコールとなる。10年国債の利子率が2%を下回るという事は、企業がお金を出して設備投資やビルを建てても思ったような利益が得られない。景気の良し悪しを除いて、金利が下がる要因の一つが「既に隅々まで成長が行き渡った」という事にも繋がるわけです。本書ではこれを「利子革命」と呼んでいますが、エネルギー価格が高騰し、「地理的・物的空間」が拡大できないな中で、1970年代を起点として、資本主義は崩壊の方向に向かっている。これが本書が語る資本主義の終焉を意味します。

●電子・金融で市場を拡大させたアメリカ。

新興国がある程度の発展し、地理的・物的空間で拡大が見えなくなった世界でアメリカが行った事は、電子・金融に資本を振り向ける事でした。でもこれは、一部の資本家が儲かっただけで、庶民が潤う事は無かった。アメリカの99%対1%。つまり、富める者と持たない者の格差が拡大していった。それまである程度の投資を行えば、それと連動して庶民は潤っていたものが電子・金融の世界ではまったく潤わなくなってしまった。それは日本でもそうであるように、企業が儲かる=賃金が上がるという構図がなりたたなくなったという事も意味します。

●価格革命。

「価格革命」とは、つまり供給に制限のあるもの。つまり、今でいう石油などがインフレなどに関係なく高騰する事をさす言葉だそうです。GDPの弾性値つまり、1%GDPが上がった時に賃金がどれだけ上がるのか?という数字ですが、1990年代まではGDPが1%上がれば実質賃金が上昇していました。しかし、ここ最近の調査を見ると、必ずしもGDPが増えたからといって賃金が上がるとは限らない。小泉政権下の時にように、企業の利益は増えているのに賃金が増えないという状況が生まれたわけです。

つまりは世界はよりグローバルになっている。生産拠点を世界に分散させる。そこで生まれた巨大企業が国家に対して法人税減税を叫んだり、雇用の流動化を押し進めている。国家が国を動かすのではなく、資本家が国家を動かす時代。それが今の時代です。

●ゼロ金利は資本主義卒業の証。

これは、ちょっと面白い話でした。現状の日本において金融緩和がデフレ脱却の要因にならないという事を踏まえつつ、雇用改善のない景気回復の方が問題であって、富を分配できないという事は民主主義の崩壊を加速させると書かれています。

●グローバル資本主義とは?

国家の内側にある社会の均質性を消滅させ、国家の内側に「中心/周辺」を生み出していくシステムだと捉えた上で、資本主義そのものが平等ではないと解きます。本書では明確に「これが次の社会システムだっ!」という事は書かれていませんが、つまりは、フロンティアも無くなり、エネルギー価格が高騰し、金利がゼロに近づく中で今までのような均質的な成長は難しい。より富める者と富まざる者が生まれていくのではないか?という事ではないでしょうか、、。

●まとめが残念。

最後に、日本がこうあるべきだっ!という提案がされているわけですが、これが非常に残念でした。簡単に説明すれば、赤字を減らして増税も止むなしという事なんですが、ここまで大風呂敷を広げて、最後が当たり前すぎる。ここで「うわっそんな方法思いもしなかったよっ!」という驚きが欲しかったです。