ホリエモンの自叙伝が発売されると聞いて、書店2件はしごして速攻で買ってきました。まずはっきり言っておくと、本書はホリエモンの本を既に読んでいる方にとっては、それほど新鮮さはないです。この本は内容が素晴らしいとか、凄い事が書いてあるという本ではなく「ファン向けの本」だと考えた方が正解です。例えば、「刑務所なう」や「徹底抗戦」を読んでいる方にとっては、そちら方が面白いです。ただ、ホリエモンの本をまったく読んだ事が無いという人であれば、本書はおすすめできます。


●福岡の田舎から逃げたかった、東大受験の理由。〜パソコンに出会うまで〜

基本的にホリエモンの本って自信満々なんですよね。この本も例外ではなく、恥ずかしげもなく、学校の勉強は簡単だった。その例として、小学校時代にあまりに勉強が出来たために、同級生のテストの採点係をしていたという話があります。そして時を経て、ホリエモンはサラリーマン家庭の親が離れたいと思い出す。無理矢理に通わされた柔道教室が苦痛でしかなかった。

時を少し経て、ホリエモンは偶然にもパソコンとの出会いをする。今では言うMacbookというものは存在してなくて、洗練もされてなかった。雑誌に掲載されていたプログラムを無我夢中で入力し続けた。ホリエモンはパソコンに取り憑かれたのだ。しかし、それと平行した勉強が疎かになり始める。ホリエモンは東大中退という学歴だけれど、東大を受けた理由はただ一つ。「田舎から離れたかった」それだけだった。F判定、ホリエモンは半年間の計画で勉強を始め見事に東大に合格する。

●死が怖かった小学生時代。

これも面白い話ですが、小学生時代に漠然と「俺って死ぬんだな、、」という恐怖が襲って来た。それは今も変わらず、マグロのように止まったら死ぬ。ホリエモンが仕事に没頭する理由は、つまりは死から逃れたいためろだという。

●殆ど大学には行かなかった。


東大に合格したのはいいものの、実際に彼がしていた事は、麻雀と競馬。特に、競馬に入り浸り、1ヶ月の大半をもやしと小麦粉だけで過ごしたという。そんな彼を救ったのは、またしてもパソコンだった。高校時代に塾のバイトで得た初めての収入。それがホリエモンの将来を決めるとは本人すら思わなかった

●起業、そして結婚へ。

バイト先からの独立。自分が分からない仕事でもとにかく引き受けた「勉強すれば何とかなる」その思いで必至に働いた。崖っぷちの人生「リビング・オン・ジ・エッジ」これが最初の社名だった。当時付き合ってた彼女。彼の父親からの融資で会社を立ち上げた。仕事は順調に進む中で拡大の壁と古参メンバーの軋轢が始まる。規模を拡大したいホリエモン。小さいままで良いという古参メンバー。結果的に古参メンバーは会社を去るわけだけれど、出資者である彼女の父親との間で問題になってしまう。

彼女と別れてしばらく、会社は順調に拡大していった。そして、友人の知り合いで出会った女性と結婚する。最初は上手くいくけれど、次第に溝は深まって行く。家庭的な彼女、通帳を含めて自分で管理したいという申し出をホリエモンは良く思わなかった。でも外食ではなく、家庭的な食事は嬉しかったらしい。しかし、彼女との結婚生活も長くはなかった。本書でホリエモンは「合わない方がお互いの幸せ」だと綴っている。

●ライブドア、ニッポン放送買収劇。 〜そして逮捕へ〜

仕事が順調に進む中で、ホリエモンは次第に会社をもっと大きくしたいと思うようになった。最初は「会社四季報」に書かれたフジテレビとニッポン放送の歪な関係を知った2000年に始まる。当時のライブドアはそれほどの規模ではなかったが、例の人物。村上ファンドの村上さんとの出会いで事はトントン拍子に進んで行く。ホリエモンがフジテレビを買収してしたかった事。それはヤフーに対抗するために、自社のURLをフジの番組に載せる事だったそうだ。

そしてニッポン放送買収から時を少し経って、検察の強制捜査。そしてホリエモンの人生は大きく変わって行く。独房での収監。それはホリエモンにとって苦痛でしかなかった。精神安定剤と睡眠薬。それが救いだった。保釈後も六本木ヒルズの自宅前に報道陣がずらっといた。本書で何度もホリエモンはあの事件は無罪だったと主張している。そして、服役。本書の最後で、もはやお金を稼ぐ事にそれほどの興味は無いと言っている。もう一度会社を立ち上げる気もないらしい。今はロケットの開発と執筆業。今の目標は誰もが気軽に宇宙に行ける世の中にする、、だそうだ。

●まとめ。

収監中に書き溜めたという本書だけれど、実際には幼少期から逮捕されるまで話が中心です。今何をして今後どうなるのか?という展望は見えて来ない。ただ、マックスむらいの自叙伝と比較すると、物語としては面白いのではないかと思います。