楽天が全社の共通言語を「英語」にする。社内の書類も会話も全部英語にする、そんな話を聞いて「ついに楽天もおかしくなったのか?」と思った。三木谷さんの「たかが英語」を読んでも何となく腑に落ちない感じが続いていた。でも本書でこの解に出会う事ができました。楽天がただの通販の仲介企業では終わらないという事を、強く感じさせる本です。

●楽天は何故、全社の公用語を英語にしたのか。

全ての事業が日本で行われているのであれば、別に英語の必要性はない。例えば、「東京糸井重里事務所」が社内の公用語を英語にするか?問われれば、確実に答えはNOだと思います。でも楽天が目指す先は全世界。海外企業も積極的に買収している楽天の中で増えてきた外国人社員の対応。別に公用語は中国語でも良かったと三木谷さんは言いますが、英語を選択した理由は世界で最も通じる言葉という事が大きいと言います。

で、その上で次第に生じて来た問題は書類をいちいち日本語に変更する。そして、通訳を通す。それによって、楽天がスローガンとしている「スピード!スピード!スピード!」が達成できない。全社の公用語を英語にした理由は、単にかっこいいという理由ではなく、必然だったとボクは思います。最初の役員会議は通常の倍の4時間の時間がかかったそうですが、今でもかなりの割合で社内の英語化が進んでいるうです。

●楽天が売っているものは商品ではなく「楽天」。

これは面白かったです。一見すると楽天は商品を売っている企業たと思われガチですが、三木谷さん曰く、楽天が売っているものは「楽天」であると。それを世界に売っていると言います。例えば、技術であったり蓄積させたノウハウ。それを売る事が楽天の目的であると。

●買収はシナジーを重視せよ。

楽天は最近では、電子書籍のKoboといった海外企業を買収してますが、楽天のやり方はソフトバンクなどと比較するとかなり異なります。買収して役員の送り込んで、売り上げを伸ばす。それも一つの選択ではあるものの、それではまたイチからのスタートになってしまうと、三木谷さんは言います。アメリカのネット通販大手を買収した時も、買収先の意見を組み入れた上で、その良さを活かす事に専念しているわけです。それは企業に限った事ではなく、例えば、某アジアの国ではクレジットカードが普及してないかった。そこで自宅に出向きその場で支払う仕組みに変えた所、ビジネスは成功した。なんでもかんでも押し付けるのではないと言います。

Amazonと楽天の大きな違いは、Amazonは世界中どこでも同じデザインですが、楽天は国ごと、店鋪ごとに個性が出ている。それが楽天の最大の強みであると、、。

●お金の臭いのしないミッキー。

感想的なまとめですけど、楽天の三木谷さんの凄い所ってお金の臭いがあんまりしないんですよね。まぁ楽天カードとかお金の臭いプンプンですけど、別に当時のlivedoorのように、時価総額世界一とかではなく、やっぱり何か地に足の付いたものがある。楽天流がどこまで世界に通じるのか?は不明ですが、楽天の資産はやはり人なんですよね。そして、人によって積み上げられたもの。どこか人間にらしい感じのする本でした。