我々日本人には馴染みが無いけれど、つい最近までアメリカには白人による黒人の差別があった。白人は黒人の奴隷。奴隷解放で起こった「南北戦争」それは教科書で習ったかもしれない。本作は、そんな白人と黒人の人種問題を、大統領の執事として仕えた主人公。そして、その家族をめぐって進んで行きます。

●あらすじ。

農園で白人の奴隷として働いて両親を持つ主人公「セシル・ゲインズ 」。ある日、父親が白人によって射殺されてしまう。母親は廃人と化し、セシルは農園を出て1人で生きる決意をする。しかし黒人のセシルにまともな仕事はなかった。そんな時、食べ物欲しさで押し入ったホテルで執事として働く事になった。

勤勉なセシルは仕事をどんどん覚え、金銭を除けば自分の居場所を見つけていた。そんなセシルにある日、大統領執事として働かないか?という誘いが来る。ホワイトハウスで執事となったセシルを中心に、歴代大統領、そして黒人初の大統領であるオバマ誕生までを、白人と黒人の歴史を元に進んでいく、、。

●感想。

まず驚きだったのが、白人と黒人の差別が実質的にはオバマ誕生まで続いてた事です。我々日本人はアメリカ=自由平等の国という印象があるけれど、それはまったく間違いだったわけです。それはアパルトヘイト以前のアフリカもそうですが、トレイ、飲食店。殆どの場所で白人と黒人は区別されていた。本作でもセシルが何度も言うように、黒人は白人よりも40%も低い賃金で昇進も認められていなかったわけです。で、本作の素晴らしい所は歴代大統領による黒人政策。

そして、それを象徴するセシル一家の物語が同時平行的に進むわけです。アイゼンハワーから始まって、ケネディ、ジョンソン、ニクソン、レーガン。黒人差別とは直接的ではないけれど、ケネディ暗殺も描かれている。それぞれが黒人に対してどんな思いを持っていたのか、それを当時のニュース映像の再現と共に描写していく。

そしてもう一つの軸がセシルの家族です。少しネタバレをすると、長男のルイスは父親の助言を断って、黒人向けの大学に進学する。そこでは、愛の授業というものに参加して、次第に反白人的な行動に傾斜していく。フリーダムバス、そしてKKK(クー・クラックス・クラン)つまり白人主義者と対峙するシーンは本当に怖かった。これが1960年代〜70年代の話だと言う。

父親であるセシルとは疎遠になってしまう。そして、次男のチャーリーは、祖国に奉仕するめにベトナム戦争に参加する。ネタバレをすると、戦地で亡くなってしまうわけです。この兄弟2人がアメリカの過去を象徴する存在して描写されていく。

主役のセシル・ゲインズを演じた「フォレスト・ウィテカー」の成人から老人までの幅広い演技は凄かった。そして、時代が巡って年老いていく中でセシルの中には「このままで良いのか?」という疑問が沸いて来るわけです。

執事としての自分は白人に奉仕している奴隷と変わらないのではないか?おそらく、60〜60後半の年になった頃、セシルは自ら執事としての職を去る決意をする。そして、向かった作は疎遠だった息子ルイスのもとだった。自分もデモに参加したい、、そはセシルにとって大きな一歩だった。

そして時を経て、2008年アメリカ史上初の黒人大統領であるオバマ大統領が誕生する。我々はニュースで「黒人初の大統領」という言葉を見て「へぇーそうなんだ」と思うけれど、この映画を見ると黒人大統領が誕生した事がいかにアメリカ史にとって偉大な事だったのかが理解できる。

これはアメリカ人にとっては衝撃的な作品であって、我々日本人が見る意義も大きいと思います。