Amazonで注文する際に「これは面白そうだ!」と思って注文し、届いた時に「薄っ!こんなのぼったくり」だと激怒した。でも読み進めて見ると意外と面白かった。Amazonのベゾスと言えば、それこそ数えきれないほど関連本が出ていて、その生い立ちに迫った「ジェフ・ベゾス 果てなき野望−アマゾンを創った無敵の奇才経営者」が有名ですが、スティーブジョブズ亡き今、世界最高の経営者と呼ばれている。本書はそんなベゾスに迫った本ではあるけれど、実はその不の部分に迫った本です。

一見すると、Amazonは最安でしかも自宅まで送料無料で運んでくれる便利なサービスですが、その裏では新奴隷制度とも呼ばれる裏事情があった。ただ、それは全ては消費者に最高のサービスを提供する裏返しでもあるわけです。

●ベゾスが送る緊急度Bのメール。

ベゾスさんは日頃からカスタマーからのメールを読んでいるそうです。例えば、本書に取り上げられた例として、ある日男性がAmazonで「ローション」という検索ワードで商品を検索した。すると数日に後にそういった商品がおすすめされたメールが頻繁に来るようになったと言う。それを見たベゾスさんはメールに「?」を付けて担当部署に送信した。これをAmazonでは「緊急度B」のメールという。それを見た社員は業務を止めてその改善に勤めなければならない。ベゾスさんは、商品の広告メール全てを廃止するように迫ったといいます。

AmazonはGoogleと違って福利厚生は殆どない。死ぬほど働くほど過酷な業務を求められる。経費は殆ど認められず、バスの定期すら購入してもらえない(ベゾスさん曰く、バスのある時間に帰宅する事がありえないらしい)。

●独裁で失敗したスマホ。

これは話題になってましたね。「Amazon製のスマホが80億円も売れ残る」なんて言われてましたが、これは様々な機能をベゾスさんの強引な主張で盛り込んだ結果だそうです。

●Amazonが抱える新奴隷制度。

これが今回のポイントです。普段、我々はAmazonを気軽にそして気持ち良く利用してますが、実はその裏では新奴隷制度とも呼べる自体が起こっていた。これは「潜入ルポ アマゾン・ドット・コム」という本に詳しいですが、低価格を実現するめにバイトを最低賃金で雇う。噂によれば、Amazonの倉庫で働く従業員の1人の歩行距離は24キロにも及ぶらしい。そして、Kindleでは出版社に強引な値引きを要求する。これはAppleにおけるフォックスコン問題と似ていますが、安さは倉庫で働く低賃金の従業員と配送業者の酷使によって生まれているわけです。

それを批判されたのか、Amazoでは現在全自動でキッピングから梱包まで行うロボット化を急ピッチで開発しているそうです。もはや人すら要らないと、、。

●それでもボクはAmazonを使うだろう。

これ複雑な問題ですが、裏で低賃金の労働者がいたり、中小の書店がネット書店によって倒産したとしてもボクはAmazonを使い続けるとと思います。だって便利だから。コーヒーだってあれだけ低価格で出せる理由は圧倒的なコーヒー農家に対する搾取なわけですよね。でも我々はコーヒーを飲む事を止めないわけです。

●感想。

ただ、本書は視点は面白いですが独自の情報が殆ど無いです。あくまで公開されている情報をまとめました、という本です。良くも悪くも作家が書いた本です。これが元Amazonの幹部が書いたとかっだったらもっと面白いと思いますが。でも視点は斬新ですので、気になる方は手にとっても良いと思います。