この本を読むまでボルテージという会社の存在を知らなかった。携帯ゲームと言えば、GREEでありモバゲーでりガンホーであると思い込んでいるけれど、実は携帯恋愛ゲームだけで年間売り上げ100億円。そして、東証1部に上場し、オフィスを恵比寿ガーデンプレイスタワーに構える会社、それがボルテージです。たぶん、女性の方は一度くらい触れた事あるかもしれない。そして、この会社が優れている点は爆発機なヒットが無いという事です。ガンホーのように「パズドラ」という明確なキラーアプリがあるわけではない。この会社が優れている点は、年間に10本以上の恋愛ゲームをコンスタントに公開し、そのゲームの大半がヒットしている事です。


●大手では難しい1年に10本の壁。

大手のゲームメーカー、例えばスクエニとか任天堂の場合は年間に1本〜2本のゲーム、それも数年という歳月をかけてゲームを完成させる。しかしボルテージの場合は年間に10本近い恋愛ゲームを公開する。しかも、その全てがオリジナルの恋愛ゲームだという事です。

これだけ大量のゲームをコンスタントに生み出せる仕組みは、仕組み化です。

誰でもゲームを作れるようにする。

ガンホーのように、森下さんが全てといった事がボルテージでは通用しない。若手がゲームを作る事は当たり前。その仕組みは丁寧に作り込まれたマニュアルにあったわけです。創業者である津谷祐司は、アメリカの名門映画学校に入学し、卒業後は博報堂に勤めていた。その経験を活かして、ゲームを作るノウハウを映画を参考に、徹底的にマニュアルに落し込んだ。そして、ユーザーのデータ、流行の恋愛ドラマの要素まで全てをマニュアル化している。これを使えば、若手の社員であってもヒットゲームを生み出す事ができる。これがボルテージがコンスタントにヒットを生み出せる仕組みなわけです。

●昇給よりも職場環境。

これは面白かったです。よく会社は社員のモチベーションを上げるために、昇給という方法を使います。つまり、給料を上げるわけですね。普通はお金を貰ったらモチベーションが上がるだろう、、そう思うけれど、実は昇給ではそれほどのモチベーションにはならない。ボルテージが一番大切にした事は職場環境だと言う。それは創業15年の間に7回も引っ越しをしている事にも由来する。今現在のオフィスは誰もが憧れる恵比寿ガーデンプレイスタワーの高層階にあるわけです。社員のモチベーションが一番上がるのは職場環境と結果の見える化です。何より、自分が作ったものが使われるという快感ですよね。

●そして創業者は一線を退く。

創業者の津谷祐司氏は今は一線では活躍してない。会長という職を退いて、30歳後半の社員に社長職を譲っている。これは理由があって、例えば、Yahooの元社長の井上さんみたいな感じだと思うんだけど、若手とのコミニュケーション。つまり、距離が空いてしまった。誰もがゲームを作れる環境を用意する。もはや、社長が指揮を取る必要は無くなったという事なのかもしれない。

ボルテージという会社は面白いな〜。