まぁこれは翻訳の問題なのか、そもそも原書に問題があるのは分かりませんが、非常に助長です。300ページ以上も使って「で?」という感想をボクは抱きました。シリコンバレーと言えば、「アップル」「Google」「Facebook」などの名だたる企業。最近では自宅を住まいとして提供する「Airbnb」だったりFacebookに約1000億円で買収された「インスタグラム」といった新興のベンチャーも続々と誕生しているITの聖地。本書はコンセプト自体は良いんです。なぜシリコンバレーではIT企業が勃興するのか?というテーマ。ただ、それを学術的に綴ってしまっている。

例えば、本書は以下の10個のテーマについて綴ってあるわけです。
(※Amazonから一部引用します。)

1.スタンフォード大学は、産業および周辺コミュニティとともに歩むパートナーとして
どん な役割を果たしているか。
2.シリコンバレーの人々はなぜそんなにも意欲にあふれているのか。タイプAパーソナリ<
ティの競争心の強さがシリコンバレーを支えているのか。それともこの人たちは機会やチャ
ンスのない場所からきたのか。
3.シリコンバレーは間断のないイノベーションサイクルにどうやって適応しているのか。
4.シリコンバレーの起業家に共通する目立った性質は何か。彼らはよその起業家とどう
違うのか。
5.気前のよい従業員福利厚生も含めて、シリコンバレーのビジネスモデルは企業の成功に
ど のように貢献しているのか。
6.シリコンバレーでベンチャーキャピタルが拡大し、ほかの大都市でそうでもないのはなぜ
か。 7.法律事務所、会計事務所、銀行などのサポートサービス網はどのようにエコシステムに
関わっているのか。
8.地域の人々のたまり場や集会所はオープンで人を育てる文化をどのように醸成したのか。
9.シリコンバレーでの生活の質はなぜ優秀な人々を引きつけ、地域全体の生産性に貢献し、
生活費が高いにもかかわらず彼らを離さないのか。
10.シリコンバレー育ちであることの競争における利点は何か。

本音を言うとボクが知りたかったのは、Facebookが成功した本当の理由とか。Google創業当時の裏話とか。本書には名前が乗っているYコンビネーターへのインタビューであったり、実際の投資家への投資案件の選別方法。だって、Googleは世界的に優れているし、確信的なビジネスを次々に展開しているのに、広大な本社があって食事は無料。1週間のうち1日は自分の好きなプロジェクトに使える、、みたいな事が書いてあるわけです。知ってるわっ!という話です。我々が知りたいのは、Googleが目指す未来であり、シリコンバレーの面白い話でしょ。それを読んで「あっシリコンバレーで起業してみようかな?」と若者が目をギラギラ輝かせる。それがゴールではないのでしょうか?

シリコンバレーの歴史は分かりますが、やはりシリコンバレーが成功した理由は厳密に言えばスタンフォードかもしれないけれど、やっぱりそこに集まる熱意であり闘志ですよね。もっとシリコンバレーの内面に踏み込んでほしかったです。ただ一つ疑問に思った事は「日本人の我々はこれを読んで何を思えばいいのか?」という事でした。学術的には正解かもしれませんが、、。