タイトルの表紙にもある「日経平均株価が4万円を越える」という言葉を見て(またトンデモ本が出たな)と思いましたが、読んでみると予想外でした。日経平均が4万円を越えるという確実性はありませんが、本書は非常に全うな株式入門の本です。

日本ではかつて(つい最近まで)銀行や証券会社、そして企業同士の持ち合いという形であまり流動性が無かった。それがバブル崩壊や会計制度の改正によって、流動性を持ち始めた。

そして海外投資家や日本におけるNISA。そして、年金基金の株式比率の増加によって、市場は活況を呈している。デフレが終わりインフレ方向に向かえば、株の時代は訪れるという主張は非常に全うです。

で、本書か優れてる点はこの部分ではなく「投資とは何か?」という事を問いかけてくる事です。確かに、伝説の投資家であるジョージソロス氏とのストーリーなども面白いんですが、ボクが引き込まれたのは後半の部分です。よく株という=投機でありギャンブルであると思われガチですが、実は投資と投機はまったく違う。投資とはその企業を応援する事で社会をより良くする事であって、投機とは社会に貢献しない事を言う。

「長期投資」という言葉を本書では使っていますが、本当に優れた企業を長期にわたって応援する事。それが最高の投資であって、最高のリターンを得る事だと言います。面白い話として、ジョージソロス氏は投資家であって、ウォーレンバフェット氏は経営者という指摘は興味深いですね。

本書では虚業と実業という視点で、「ファーストリテイリング」と「ソフトバンク」という2社が紹介されています。壮大なビジョンと堅実な経営。これそこ、投資に値する企業という事ですね。

タイトルにある日経平均4万円の根拠ですが、日本株のROE。つまり、株価の収益率が世界平均に比べると低いので、欧米並のリターンを提供できれば4万円もウソじゃない。ただ、本書は少し残念だった点は株価を企業や投資として見ているけれど、政治という面では殆ど語らないという事です。世界政治も同様ですね。あくまで投資家の意見という事なのでしょう。

株初心者には安易な投資本よりもおすすめできます。