ある意味でコーヒー好きの人には100点満点を出しても足りないくらい良い作品でした。我々は何気なく朝だったり昼にコーヒーを飲んでいる。コンビニに行けば手軽に美味しいコーヒーが飲めるし、スタバに行けばパソコンで作業をしながら快適な時間を過ごす事できる。でも、それが貧困や飢餓を生んでいる要因だとしたらどうだろう?あなたは、それでもコーヒーを飲むだろうか?

●コーヒー豆を1日8時間選別して得られる対価は0.5ドル。

本作「おいしいコーヒーの真実」は、後進国であるエチオピアのコーヒー農家を主人公に、コーヒーをめぐる物語です。実はコーヒーと言うのは先進国による搾取の象徴であるわけです。最近ではフェアトレードと言って正当な対価でコーヒーを買う動きも出ている(※本作の公開が2000年代前半なので少しは改善している可能性はある)わけですが、未だにコーヒーは先進国による搾取の象徴です。例えば、先進国。例えば、日本のスタバでコーヒーを飲もうとすればドリップで1杯300円くらいはします。じゃあその1杯に対して、コーヒー農家に対してどれだけの金額が払われているのか?「1杯330円のコーヒーから生産者が手にする金額を3〜9円」だと言う。さらに酷いのが、コーヒーを選別する女性たち。1日8時間黙々とコーヒー豆を選別して得られる対価は米ドル換算で、たった0.5ドルにしかならない。エチオピアでは、子供を学校に行かせられない上に、さらに飢餓まで発生している。

●コーヒー豆の価格は先進国が決める。

それは全て先進国。その象徴として本作では多国籍企業である「ネスレ」「クラフト」「P&G」「スターバックス」などを挙げているわけです。コーヒーの価格はヨーロッパやアメリカの市場で決定され、後進国のコーヒー農家はその言い値で買うしか無い。さらに酷いのが、コーヒーで食べて行けない農家が「スキャット」。これはヨーロッパやアメリカでは禁止されている麻薬の栽培に転換している事です。生きるためには仕方ない。

●セブンのコーヒーの利益率は50%?

ただ、本作を見てボクが思った事はコーヒーを飲む人は悪くないのでは?という事です。じゃあコーヒーに農家に正当な対価を払うからスタバのキャラメマキアートが1杯1000円になります。と言われて買うのか?問われれば答えはNOです。この問題は消費者ではなく企業側にあります。農家が疲弊するのと比例して、コーヒーってもの凄く儲かるんですよね。例えば、最近話題のコンビニコーヒー。セブンイレブンの例で言うとドリップ1杯は100円ですが、利益率がどのくらいか?と言うと、大体50%くらいです。つまり、100円のコーヒーを売る事でセブンは50円の利益を得るわけです。これはファミマもローソンも同じで、コーヒーは売れれば売れるだけ儲かるわけです。何故って?それは限りなく安価でコーヒー豆が手に入るからです。つまり、搾取の結果ですよね。

●先進国の農業補助金によって後進国の飢餓が発生する。

もう一つ衝撃的だった事が、後進国で飢餓や貧困が起こっている原因が先進国にある事です。日本でも米などに補助金がかけられていますが、世界規模で見ると先進国の農業の補助金の総額は8000億ドル。この補助金によって後進国の作物が輸出できない。本作の終盤でアフリカの輸出シェアが1%の伸びるだけで、アフリカが受けている食料援助の7倍のお金を稼ぐ事できるという事がテロップで出て来ます。

エンドロール手間の「ネスレ、P&G、クラフト、スターバックスにインタビューを求めたが回答はなかった」という話が全ての物語を象徴しています。

これは是非、見る事をおすすめします。