ある意味で本書が優れている点は、それまでのソフトバンクの本が「孫正義を賞賛する本」だったのに対して、初めてソフトバンクの負の部分にスポットを当てた事です。例えば、「孫正義名言集」(※そういった本も出てます。)といったタイトルの方が絶対に読者受けするわけです。「30分で読める孫正義のように1兆円稼ぐ12の法則」(※仮)とかの方が絶対に売れるわけです。

ただ、本書が有用な点はスプリント以降、殆どインタビューに応じない中で最近のソフトバンクについて触れられる事です。最近話題の後継者候補であるニケシュ・アローラ氏にも触れられていますし、本書のタイトルにも「俺はまだ100分の1も成し遂げていない」という言葉は衝撃的ですよね。この本の中では「孫正義は投資家か?」という話があるわけですけど、ボクの中では孫さん=投資家です。

本書で面白かったのかは、

・スプリントの低迷。
・iPhoneによる差別化戦略の衰退。
・低迷する株価。
・機能しなくなりつつあるタイムマシン経営。

最後の方で社外取締役であるユニクロの柳井さんのインタビューも載ってて、かなり楽しめました。

まぁ余談ですけど、今のソフトバンクがやっている事は情報革命でも何でもなく、ただ有望な投資先を探して投資しているだけだと思ってます。中国で革命を起こしたのは孫さんではなくジャックマーなわけですし、iPhoneを開発したのはジョブズなわけです。本書にも書かれてますが、それがある意味でロボットのペッパーで何かを具現化したいのではないか?とも思いました。孫さんは面白いけれど、別にソフトバンクにそれほどの面白さを感じない事がソフトバンクの最大の弱みなのかもしれませんね。