まず始めに言っておくと、本書は手っ取り早く儲けたい人向けの本ではありません。そういう人は「1年で1億稼いだ私の方法」といった胡散臭い本を買えば満足できす。そもそもバリモア氏という人物はどういう人間なのか説明します。

皆さんも1900年代初めにアメリカをきっかけに株価の大暴落があった・・という事はご存知だと思いますが、その相場を見抜き富を得た伝説的な投資家がバリモア氏です。

今、世界で最も賞賛される投資家は勿論、ウォーレンバフェット氏ですが、彼が企業を買うのに対して、バリモア氏は相場を買う。天才投資家と言われる所以はそこにあります。



本書の面白さはその物語ですよね。ある種の教訓めいた事が綴られているわけですが、例えば、昔にあった株の取引が出来る酒場。そこで注目を集めたバリモアは店から閉め出されてしまう。要は店が孫をしたわけです。

しかし彼は諦めなかった。それを元手に本物の市場で勝負に出た。ただ、天才的な千里眼を持っていた彼でも、相場を手名付ける事できなかった。

それは当時の市場がコンピューターではなく、黒板にチョークで書かれていたため、タイムロスが発生してしまうためです。今なら、パソコンのワンクリックで即座に取引できる環境が無かった。でもバリモア氏は資産を増やしていった。そして一台勝負を賭けた綿花の取引で大損をして破産をしてしまう。しかし幸運や努力が重なり、今や伝説的な投資家として語り継がれている。

本書の面白みは勿論、バリモア氏が資産を増やして行くまでの過程ですが、投資家に対して教訓めいた事も言っています。

1.予算内で取引を行う事。
2.損が出たら早めに売る事。
3.手元に余裕資金を持っている事。


勿論、今となっては当たり前すぎる事ですが、サラリーマン投資家と世界の投資家では重みが違うわけです。まぁボクはデイトレードや相場よりもバリュー投資の方に興味がありますが、株式相場の教訓として、また物語として面白かったです。

息子に対する金融教育はなるほどと思ったし、Wikipediaを見れば分かりますが、天才投資家の生涯は本当に悲しい。お金で幸せは買えないという教訓も残している。ラストで綴られる衝撃的な過去。(映画のフォックスキャッチャーの最後みたいです。)

巻末にまとめられた、バリモア流の投資論も必見です。