この記事は、reviews(レビューズ)より依頼した企画です。

皆さんは、スーパーに買い物に行って「遺伝子組み換え作物」を気にしますか?ポテトチップスやコーンフレークを見て「コーン(遺伝子組み換えでない)」という言葉を見て安心するかもしれません。日本では遺伝子組み替えは=「悪者」扱いされている雰囲気があります。それは端的に言えば「癌になる」といったものから「巨大企業の陰謀で作られた作物」というものまで、、。

●遺伝子組み換えは飢餓を救う?

でも、もしそれが世界を飢餓から救い、未来の安全を作るとしたら?そもそも、全ての作物は遺伝子を組み替えられて存在しているとしたら?海外の遺伝子組み換え作物が「構造的に遺伝子を組み替える」の対して日本のサカタのタネといった会社は「品種を交配させて」新しい種子を生み出す。

●昔のキュウリは真っすぐではなかった?

食物の原種(本書ではトウモロコシの写真が載っている)は食べた代物ではなかった。甘くもなければ美味くもない。それが遺伝子が変化する毎に美味しいものへと変化していった。たぶん年配の方ならご存知かもしれませんが、昔のキュウリは今のように真っすぐではなかったし、今と違って表面はぶつぶつだった(これはサンドイッチを加工する際の手間を考えたものらしい。)でも我々は「きゅうり=遺伝子組み換え」で差別はしないし、トマトも人参も気にしない。

でも、トウモロコシとじゃがいも大豆を含めて異常に反応する。

誰に言われたわけではない、誰に聞かれたわけでもないのに、、、。

●我々の口に遺伝子組み換え作物は入ってる?

日本人は異常に遺伝子組み換えを気にするけど、実は日本の市場には大量の遺伝子組み換え作物が使われているわけです。日本の法律上は全体の5%未満であれば「遺伝子組み換え作物ではない」と表記できるそうです。欧州では0.9%未満だそうです。ただ、それは全てのものに適応されるわけではなく、炭酸飲料まぁコーラに使われているコーン原料のシロップにおいては規制ははない。つまりコーラを飲む事は「遺伝子組み換えを使ってます」と同じなわけです。同じ例がBSE問題ですよね。日本ではアメリカからの輸入を停止しましたが、じゃあ「アメリカに行ってステーキを食わないの?」問われれば(え〜っと食べたよ)という事です。


トウモロコシ!
トウモロコシ! / adelie33_Asako


●遺伝子組み換え食物が癌になると証明できたらノーベル賞がとれる?

日本人の多くがなんとなく「遺伝子組み換え食物を食べれば癌になる」という認識を持ってますが、そもそも過去20年間以上において遺伝子組み換え作物が癌を誘発する明確な根拠はない。何兆円規模で生産されるGM作物市場において、それが証明できたらノーベル賞ものだそうです。ネイチャー等に載ってた論文もその全てが捏造だと結論付けられたそうです。

そもそも論として、タバコが堂々と「癌を誘発する危険があります」と書いてあるのに、吸う人は沢山いるわけですからね。(笑)


Exhaling (息出し)
Exhaling (息出し) / Adam Chamness


●飢餓と世界を救うのは遺伝子組み換えだっ!

遺伝子組み替えは日本において悪ですが、実は世界を救う一面も持ち合わせているわけです。例えば、今後人口が増え続ければ必然的に作物の生産量を増やさなければならない。話によると今後数十年間で50%近く生産量を増やす必要があると言います。そのためには大量の森林を伐採する必要があるわけです。

それは環境を破壊してしまう。でもGMで作物生産量がアップできれば、環境を守る事ができる。それに加えて、遺伝子組み換えによって作られた「米」。ゴールデンライスはアフリカで子供の失明の原因となっているビタミンAを生成する効果を持っているそうです。これによって多くの命が救える。


●モンサントと陰謀論。

Amazonで遺伝子組み換えと検索して真っ先に出て来る「モンサント」という企業。遺伝子組み替え種子の大手であって、日本では「遺伝組み替えで食物産業を牛耳る会社」という認識ですが、実は2012年の売り上げはたった1兆円に満たないわけです。ウォルマート売り上げが30兆円程度で世界的に見れば数百兆円規模の食物市場の中で、たった1兆円規模しかない。日本でサカタのタネが食物市場を牛耳っているか?と問われれば別にそうは思わないわけです。

●まとめ。

本書では遺伝子組み換え食物に対して、現状を丁寧にまとめてあります。作物の現状、遺伝組み替え作物の質実。そして今後の展望まで。スーパーで何となく「コーン→遺伝子組み換えではない」に疑問を抱く方には読むと結構刺激的です。