最近は、カラオケの上位ランキングを見るとボカロの曲が増えているようです(代表的な例で言うと、千本桜みたいなもの・・)。

ボカロとは簡単に説明すると、機械の合成によって人の代わり歌を唄ってくれるソフトです。

ニコニコ動画やYouTubeでもメジャーなコンテンツの一つです。

本書は、そんなボカロ(主に初音ミク)がどうやって誕生して現在までの地位を築いて来たのかという事がまとめられた本です。



はっきり言いますが、すごいです。

久々におおっっそうだったのかっっ!という興奮に包まれております。

●目次。

序章 僕らはサード・サマー・オブ・ラブの時代を生きていた
・新しい「幕開け」がそこにあった
・「誰が音楽を殺したのか?」の犯人探しが行われていた二〇〇七年
・新しい「遊び場」が生まれた年
・二十年おきに訪れる「サマー・オブ・ラブ」

第一章 初音ミクが生まれるまで
・二〇年前からずっと繋がっている
・それは三行広告から始まった
・MIDIとDTM文化の登場
・初音ミクに受け継がれた名機「DX7」
・ベッドルーム・ミュージシャンたちの静かな楽園

第二章 ヒッピーたちの見果てぬ夢

・六〇年代に生まれた音楽家の「遊び場」
・「帰って来たヨッパライ」が日本のロックを変えた
・「サマー・オブ・ラブ」とは何だったのか
・ヒッピーカルチャーとコンピュータ文化を繋いだ男
・セカンド・サマー・オブ・ラブとレイヴの時代

第三章 デイジー・ベルからボーカロイドへ
・歌声だけが取り残されていた
・最初に歌った言葉「あさ」
・『二〇〇一年宇宙の旅』、死にゆくコンピュータの歌
・モーグ博士と「パプペポ親父」

第四章 初音ミク誕生前夜
・無風だった最初のボーカロイド
・声優・藤田咲を起用した理由
・アンダーグラウンドシーンから開発者の道へ
・初音ミク誕生の裏側にあった、竹村延和の一言
・「同人音楽」という土壌
・ニコニコ動画とMAD文化

第五章 「現象」は何故生まれたか
・二〇〇七年の「運命的なタイミング」
・仕掛け人は誰もいなかった
・「このビッグバンが、次の時代へのリファレンスになる」

第六章 電子の歌姫に「自我」が芽生えたとき
・キャラクターからクリエイターへ
・「メルト」が変えた風景
・ルーツにあった「強度」
・「歌ってみた」とエレックレコード

第七章 拡大する「遊び」が音楽産業を変えた
・ヒットチャートを侵食する新たな波
・カラオケと著作権の新しい関係
・三次元に舞い降りた歌姫

第八章 インターネットアンセムの誕生
・「世の中が動くかもしれない」
・初音ミクがウェブの「日本代表」に
・「ヘイル・トゥ・インターネット」
・二〇一二年の「ホテル・カリフォルニア」

第九章 浮世絵化するJポップとボーカロイド
・「千本桜」は何故ヒットしたのか
・「カゲロウプロジェクト」が受け継いだ一〇代の魂
・Jポップの「物語音楽」化
・「高密度ポップ」の誕生
・ボーカロイド「高速化」の理由

第一〇章 初音ミクと「死」の境界線
・揺らぐ「いる」と「いない」の感覚
・創造をもって死を乗り越える、ということ
・パリ・シャトレ座に響いた「終わり」のアリア

終章 未来へのリファレンス
・最初は消えそうなくらい小さな炎だった
・初音ミクと「情報革命」
・消耗品になってほしくなかった
・ブームは去っても、カルチャーは死なない
・新しい音楽文化の可能性
・音楽の未来、クリエイティブの未来


●感想。

まず初音ミクの何が革命だったのかと言うと、要約するとこういう言葉になります。

宅録革命っ!

1970年代頃までは自宅で音楽を製作するには高額な機材が必要だった。

それがMIDI規格の誕生とDTM(デスクトップミュージック)の登場によって劇的に安く個人でもMacbook1台で音楽が製作できるようになった。

たぶん、プロの使っている機材とボカロPが使っている機材にそれほどの大差は無いはずです。

それこそ、冨田勲さんや初期のYMOの頃なんて、シンセ1台がタンスほどの大きさで、税関で審査に通らなかったとも書いてあります。

それが、初音ミクの登場によって、誰でも気軽に音楽を製作する事か可能になった。

そして大切なのが、ニコニコ動画に代表される動画共有サイトの誕生です。

今までは宅録して自分で楽しんだり少数の共有だったものが、今日作った曲が明日には100万回再生されたりする。歌が下手でも楽曲を制作できるようになった。

そして、それがCDとなったり広告収入によって趣味によってお金が稼げるようになった。

世間的に言うとHIKAKINに代表されるYouTuberが有名ですが、それと同等くらい素人に対して世界が広がった革命です。

ただ、最近はあまりにも数が増えたため全体的に言うとボカロは衰退ぎみだそうです。

ボカロファンは勿論、音楽に興味のある方は興奮できると思います。

おすすめです。