車が好きか嫌いかに関わらず、本書はすごい1冊です。日本では国内で販売される大半の車が右ハンドル。左ハンドル車は一部の高級車というイメージがありますが、本書で解く事は「日本車が左ハンドル車を導入すれば、日本が変わる」という壮大なもの。そのテーマ1つで、200ページ近い文量を書き切るという凄さです。簡単に要約すれば、「日本車が左ハンドルを採用する事で、海外の中古自動車市場に日本車を投入する事ができる」という事なんですが、非常に説得力のある本です。



●日本車は海外マーケットで売れない?


日本車は世界で最も進んだ車である事は事実だと思います。燃費で言えば、アメリカ車に比べて圧倒的に優れている事も事実ですし、品質の面でも世界水準を維持しています。が、しかしです。車の中古車市場で見た場合、日本の「右ハンドル車」が足かせになっている部分があります。現在、世界の7割近い国が左ハンドルを採用しているそうで、右ハンドル車というだけで、市場から排除されてしまうのです。一部の国では日本の右ハンドル車を強引に左ハンドル車に変える事もあるそうですが、安全性の面と費用的な面で疑問符が付く。これは海外向けだけではなく、国内の自動車市場にも関係してくる事です。

例えば、日本で中古の車を売却する場合、あくまで日本国内の市場しか取り込めない。これが世界マーケットで売れれば、個人ユーザーが車を高く売る事ができる。リース価格をリーズナブルに、300万円で買った車で定価の7割や8割で売れるように・・。つまり、新車を中古車で売る際の価格が高くなって、より気軽に新車に買い替える事ができるわけです。

●日本の中古車を世界を世界に売る事で環境に貢献できる。


日本の車が世界で最も高い燃費を実現している事は多くの人が知っている事実だと思いますが、日本の優れた低公害車を中古で世界に販売する販売する事によって、環境に貢献できるのだと著者は言います。より高い価格でより高スパンで買い替えが進む事によって、日本が誇る低公害車を世界に供給できるという事です。

●左ハンドル車は危険なのか?


これは多くの人が国内では感じている事ですが、左ハンドル車は危険という認識。たぶん、初めて左ハンドル車に乗る時に感じる車線の感覚みたいなものです。それに関して著者はきっぱりと、それは間違いだと・・。むしろ人間工学的に考えれば、右手でギアを操作した方が安全だと言います。歩道の巻き込み事故も含めて、左ハンドルであるメリットは多分にあるわけです。これは自家用車に限らず、荷物を配達するトラックにおいても同じです。

●左ハンドル車が日本を救う。


要約すれば、以下のようになります。

1.左ハンドル車によって中古車が世界市場に販売できる。
2.日本の低公害車が世界に普及するきっかけとなる。
3.左ハンドル車の普及によって歩行者への巻き込み事故やトラブルが減る。


結果的に、日本車が左ハンドルを採用する事によって日本は変わるという事です。

僕は、車の知識なんて殆ど無いですが、車のハンドルが右か左かによって事情が大きく変わる事に驚きを感じています。昔決まった事を変えられない日本、それはスマホが普及するずっと以前に制定された「技適マーク問題」みたいなものだと思いますが、一度決めると変えるのが難しい国、それが日本なのだと、逆に強く感じる本でした。2020年の東京五輪で何台の左ハンドル車が公道を走っているのでしょうか・・。

おすすめの1冊です。